大切なライフラインの1つであるガス。プロパンガスを使用している方の中には、ガス料金が高いと感じている方もいるのではないでしょうか。実際、プロパンガス料金は会社によって異なり、料金を高めに設定している会社もあります。
なぜプロパンガスの料金が高くなってしまうのか、当記事ではその原因を紹介します。また、日々の光熱費はできるだけ抑えたいもの。ガス料金を見直し、少しでも光熱費を節約するための対策もお伝えします。
1.プロパンガスが高いと言われる主な理由は?
プロパンガスとはLPガスともいい、液化石油ガスを原料としたガスです。都市ガスの導管が設置されていない地域や建物で供給されており、事業者が各家庭にガスボンベを配送することで供給されます。
都市ガスより火力が高く、災害時の復旧も早いメリットもありますが、その反面料金は都市ガスと比べて割高です。
ここからは、プロパンガスの価格が高く設定されている理由を解説します。
1-1.価格競争にさらされるリスクが少ない
プロパンガスは自由料金制で、ガス事業者が自由に価格を設定できます。さらに、料金の公開が義務付けられておらず、詳細な料金体系を公表していない事業所もあります。つまり利用者が料金プランを比較検討できる機会が少なく、事業者は価格競争にさらされるリスクが少ないです。
料金体系の公表については、資源エネルギー庁が2017年にガイドラインを定め、調査を行っています。資料によれば、料金を公表している事業者は全体の75.6%と増加してはいるものの、未だに非公開としている事業者があることが分かります。
出典:資源エネルギー庁石油流通課「LPガス料金の公表状況調査の結果」/
また消費者の中にも、ライフラインであるガスの料金設定が事業者によって違うことや、事業者を選べることを知らない場合があります。そのため、いっそう事業者間での価格競争が起きにくくなっているのが現状です。
1-2.供給コストが高くなりやすい
プロパンガスは、事業者が契約者の家を訪問し、ガスボンベを配達します。そのため、ガスの供給には配送費、人件費などのコストがかかります。
都市ガスの場合、供給はガス管を通して行われるため、これらの経費はかかりません。供給の際にかかるコストの差が、料金にも影響しています。
1-3.供給設備の設置に費用がかかる
プロパンガスを利用し始める際には、供給設備を設置するための初期工事費用が必要です。初期費用としてガス工事代が請求されることは少ないですが、実際は毎月のガス代に少しずつ上乗せされる形で消費者が支払っています。供給設備に費用がかかり、その費用を払い続けなければいけないことも、都市ガス料金と比べてプロパンガスの料金が高くなる要因の1つです。
2.プロパンガスの料金はどのように決まる?
プロパンガスの料金は、基本料金と従量料金に分かれています。
基本料金
ガス容器やメーターなどの設備にかかる費用、配送料、保安業務のための人件費、事務手数料など。ガスの使用料に関わらず支払うもので、1,500円~2,000円程度。
従量料金
ガス使用量に応じてかかる料金。
基本料金の中でも特に配送料は地域差が発生しやすいです。また、従量料金はガスを輸入する際の価格によって変動します。
2-1.プロパンガスの適正価格
それでは、プロパンガスの適正価格はどの程度なのでしょうか。
地域ごとのプロパンガスの平均価格は以下です。
基本料金 | 10m3 | 20m3 | |
---|---|---|---|
北海道局 | 2,155円 | 10,585円 | 18,212円 |
東北局 | 1,900円 | 9,296円 | 16,227円 |
関東局 | 1,795円 | 7,861円 | 13,642円 |
中部局 | 1,890円 | 8,302円 | 14,219円 |
近畿局 | 1,909円 | 8,201円 | 14,045円 |
中国局 | 1,995円 | 8,887円 | 15,102円 |
四国局 | 1,894円 | 8,258円 | 14,174円 |
九州局 | 1,850円 | 8,478円 | 14,348円 |
沖縄総合事務局 | 1,791円 | 8,783円 | 15,343円 |
出典:一般財団法人日本エネルギー経済研究所「LPガス月別(2022年2月)」
全国で価格が一番高いのは北海道ですが、北海道は面積が広い分、配送料や人件費が高くなるため基本料金が高めに設定されています。また従量料金についても、灯油を使用する習慣があるためプロパンガスの使用量が少ないことから高めに設定されています。
関東など都市部の相場が低いのは、業者が多い分、比較的価格競争が起きているからと言えるでしょう。
3.プロパンガス代を少しでも安くするための方法
少しでもガスの使用料金を抑えたいときは、ガス会社を切り替えるのも1つの手です。プロパンガスの価格を決める要素は複数ある上、ガスは輸入品のため原料価格の変動も起きやすいです。きちんと費用にガスの原料価格が反映されるような、透明な価格設定をしているガス会社を選ぶとガス料金を抑えられる可能性があります。
すぐにガス会社の変更に踏み切れない場合は、生活の中で少しずつガスの使用量を減らし、節約をしましょう。ここからは、簡単にできる節約法をいくつか紹介しますので、試してみてください。
3-1.お風呂周りの節約
ガスの使用量のうち、最も多くの割合を占めるのはお風呂やシャワーで使用する給湯です。その分、ガス代を節約するチャンスもたくさんあります。
なるべく追い炊きをしない
浴槽に自動追い炊き機能がついている場合、お風呂の温度が下がると自動的に追い炊きをして温度を調節することがあります。自動追い炊き機能はオフにし、ふたや保温シートを使ってなるべくお湯が冷めないようにしましょう。家族が多い場合は、時間を空けずに全員が続けてお風呂を済ませるようにすると、ガス代の節約につながります。
お風呂とシャワーを使い分ける
シャワーを16分間使用すると、浴槽1杯分のお湯を沸かすのと同じだけのお湯を使います。「一人暮らしの人はシャワーで済ます」「お湯を張ったときは浴槽でしっかり温まりシャワーは節約する」など、工夫して入浴しましょう。
お湯を無駄にしない
浴槽にお湯を張る際、「つい止めるのを忘れてしまう」「自分がつかると浴槽から溢れてしまうくらいお湯を張りすぎてしまう」など、うっかりお湯を無駄にしてしまうこともあるでしょう。浴槽に張るお湯の量を少なめにしたり、自動お湯張り機能を活用して、お湯を大事にしましょう。また、自動お湯張り機能がついていなくても、蛇口に設置するだけでお湯がたまったときに自動で給湯が止まる便利グッズなどもありますので、活用してみてください。
お湯の温度を下げる
一般的にお湯の温度は42度が適温と言われていますが、2度~4度ほどお湯の温度を下げることもガス代節約につながります。
3-2.キッチン周りの節約
料理の際もガスを使用します。料理中に使えるキッチン周りでの節約術を解説します。
鍋の大きさに合わせた火力にする
火を大きくしすぎると、鍋底からはみ出た火力が無駄になります。強火を使いすぎず、なるべく中火を心がけてください。
ガスコンロの使用時間を減らす
煮込み料理より蒸し料理や炒め物など、火を使う時間の少ない料理を作るのはガス節約の点からおすすめです。また煮込み料理をするときも、圧力鍋などをうまく使用することで、ガスを節約することができます。
ガス周りの掃除をする
ガスコンロのバーナー部分が汚れていると、本来の火力が発揮されず、余計にガスを使ってしまうことになります。節約のためにも、ガスコンロ周りは綺麗にしておきましょう。また、掃除をすることでガスコンロ自体も長く使用することができます。
レンジやケトルなど電化製品を活用する
野菜の下ごしらえや、お湯を沸かすなど、レンジやケトルを使用できる場面では電化製品を使いましょう。電気代はかかりますが、トータルで見るとガスを使用するよりもお得になることが多いです。
まとめ
プロパンガスの価格は、事業者間での価格競争が起きにくいこと、また初期費用や供給のときにコストがかかることが原因で、都市ガスと比べて高くなってしまいます。しかしプロパンガス会社の中には、料金システムをきちんと公表し、安心して使用できるところもあります。
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