ガス代は使用するガスの種類や、契約しているガス会社によって金額が異なります。ガス代が高いなと感じている場合は、ガスの使用方法だけでなく、ガス会社を見直すのも1つの手です。現在都市ガスを使用していて、都市ガス会社の変更をしたいという方は、比較的簡単に切り替えができます。
当記事では、ガス会社の切り替え方法を、変更したいガス別に解説します。ガス会社を切り替えたいという方は、ぜひ切り替えの流れを把握するのにご活用ください。
1.【パターン別】ガス会社の切り替え方法・費用
ガス会社が取り扱うガスには、「都市ガス」と「プロパンガス(LPガス)」の2種類があります。
都市ガスは、プロパンガスより価格が安いのがメリットです。販売店同士の価格差は小さい傾向にあります。都市ガスの対象エリアは主に都市部であり、ガス導管がない地域では導入できないのがデメリットです。
プロパンガスは、ガスボンベを自宅まで配送して供給するため、全国どこでも利用できるのがメリットです。都市ガスより価格が2倍ほど高いのがデメリットとなります。しかし、プロパンガスは販売店同士の価格差が大きいため、ガス会社によっては安い料金で利用できるでしょう。
ここからは、ガス会社の切り替え方法と費用について紹介します。
1-1.都市ガス→都市ガス
2017年4月1日にガス小売市場が全面自由化し、ガス会社ごとに料金プランやサービス内容に違いが出るようになりました。利用者は好きなガス会社を選べるため、他社の都市ガスへ乗り換えることが可能です。
出典:経済産業省 資源エネルギー庁「ガスの小売全面自由化とは」
都市ガスの変更は、以下の手順で行います。
契約の流れ | 詳細 |
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1.都市ガス会社を選ぶ | ガス料金やサービス内容を比較検討し、都市ガス会社を選ぶ。 |
2.申込みをする |
インターネットや電話で申込みをする。 【申込みに必要な情報】
申込み後、新規契約したガス会社が現在契約中のガス会社の解約手続きを行う。 |
ガス導管やガスメーターはそのまま使用できるため、切り替え工事は発生しません。契約事務手数料として、数千円かかる場合があります。
1-2.プロパンガス→都市ガス
都市ガスは、地下に通ったガス導管によってガスを供給しています。自宅の近くにガス導管がない場合は都市ガスへ変更できないため、事前に確認が必要です。
ガス導管がある場合は、自宅までガス導管を引き込む工事を行います。プロパンガスと都市ガスは熱量が異なるので、設備を都市ガス用のものへの変更も必要となります。
都市ガスへの変更方法は、以下の通りです。
契約の流れ | 詳細 |
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1.都市ガス会社を選ぶ | ガス料金やサービス内容を比較検討し、都市ガス会社を選ぶ。 |
2.見積もりを作成してもらう | ガス導管の引き込みをするために現地調査を行い、工事費の見積もりを作成してもらう。 |
3.契約を締結する | 見積もり内容に同意できたら契約する。後から契約内容の変更ができないため注意する。 |
4.工事の日程調整を行う | ガス導管引き込み工事の日程調整を行う。ガス会社から道路管理者へ工事許可の申請も行う。 |
5.プロパンガス会社の解約手続きを行う | 契約中のプロパンガス会社を解約する。都市ガスへ切り替えする前日まで使用できるように、解約日を調整する。 |
6.ガス導管の引き込み工事を行う | 自宅の敷地にガス導管を引き込む工事や、設備の変更を行う。工事終了後、都市ガスの開栓と点火テストを行う。 |
ガス導管の引き込み工事に10万~15万円程度、ガス設備の新規設置に10万~20万円程度かかります。ガス設備は、部品交換のみでよい場合は数万円程度で済みます。プロパンガス会社によっては違約金が発生する場合もあるため、事前に確認しましょう。
1-3.プロパンガス→プロパンガス
プロパンガス会社を変更すれば、現在よりもガス代を安くできる可能性があります。プロパンガス会社変更は、以下の手順で行いましょう。
契約の流れ | 詳細 |
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1.プロパンガス会社を選ぶ | ガス料金やサービス内容を比較検討し、プロパンガス会社を選ぶ。 |
2.見積もり相談をする | 現在利用中のガス会社よりどれくらいガス料金が安くなるか、見積もりを取る。 |
3.契約を締結する | 見積もり内容に同意できたら契約する。契約後、新規契約したガス会社が現在契約中のガス会社の解約手続きを行う。 |
4.ガス機器の切り替えを行う | ガスボンベやメーターを旧ガス会社から新ガス会社へ切り替える。終了後、プロパンガスの開栓と点火テストを行う。 |
プロパンガス会社によっては解約時に違約金がかかる場合があります。
2.ガス会社の変更は賃貸物件でも可能?
アパートやマンションなどの賃貸物件でも、入居後に別のガス会社に変更することは可能です。都市ガスの場合はガス会社を変更しても、既存のガス導管をそのまま使用するため、基本的に工事の必要はありません。変更したいガス会社に新規申込みをすれば、契約手続きができます。
ただし、「重要事項説明書」にガス会社の指定・変更ができない旨が記載されている場合や、プロパンガスから都市ガスに変える場合はガス会社を変更できません。勝手に変更するとトラブルに発展する可能性もあるため、ガス会社変更は可能か事前に確認しましょう。
3.プロパンガス会社を変更する際にチェックすべきポイント
プロパンガス会社から別のプロパンガス会社へ変更する場合、ガス会社選びのポイントがあります。
以下の2つのチェックすべきポイントを踏まえて、プロパンガス会社を比較検討しましょう。
料金設定を確認する |
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確認すべきポイントは、毎月固定でかかる「基本料金」と、ガスの使用量に応じてかかる「従量料金」です。プロパンガス料金はガス会社が自由に設定できるため、会社ごとにバラつきがあります。基本料金は安いか、ガスの1m2あたりの単価はいくらかを確認すると、複数社の料金を比較できます。 中には年々値上げをするガス会社もあるため、適正価格を維持してくれるガス会社かを見極めることも大切です。適正価格で提供してくれているかは、「原料費調整制度」をもとにガス料金の調整を行ってくれているか、で確認することができます。 ※原料費調整制度とは 都市ガスの原料となるLNG(液化天然ガス)やLPG(液化石油ガス)の原料費は、原油価格・為替価格によって変動しています。そうした変動する原料費に対して、ガス料金も適正価格で提供するよう販売価格が増減する制度です。 |
違約金の発生有無を確認する |
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ガス会社と「無償貸与契約」を結んでいる場合は、解約時に違約金が発生する可能性があります。無償貸与契約とは、ガス導管の工事費用や設備費用をガス会社が負担する代わりに、利用者にガスの利用を10~15年程度義務付ける契約のことです。利用者は初期費用をガス代に上乗せして徐々に返済していくため、契約期間の途中で解約すると残りの費用が違約金として請求されます。 違約金は契約年数によって変動しますが、1~15万円程度と言われています。無償貸与契約であるか分からない場合は確認しましょう。 |
他にも、緊急時の対応やメンテナンス対応について確認することも大切です。ゴールド保安認定事業者に認定されている事業者だと安心でしょう。
3-1.プロパンガス会社を変更する際によくあるトラブル
プロパンガス会社から別のプロパンガス会社へ変更する際、トラブルが発生するケースもあります。よくあるトラブルを知って、冷静に対処しましょう。
解約時にガス会社から引き止められる |
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プロパンガス会社はとても多く、ライバル店との競争が激しいため、解約がスムーズに進まないことがあります。よくあるのは、値下げを提案して解約を引き止められるケースです。一時的に値下げをしても、徐々にもとの金額に戻されることが少なくないため、解約を引き止められてもきっぱりと断ることが重要です。 |
契約書に違約金の文言がないのに、違約金を請求された |
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無償貸与契約を結んでいたり、契約書に違約金についての記載があったりする場合は、解約時に違約金を支払う必要があります。しかし、違約金に関する取り決めがないにもかかわらず、違約金を請求してくるガス会社もあります。不当な請求をされた場合は、消費者センターに相談しましょう。 |
まとめ
都市ガス会社から別の都市ガス会社に切り替える場合は、新規契約する都市ガス会社にインターネットや電話で申込みをします。都市ガスの場合、ガス導管やガスメーターの切り替え工事は不要です。
プロパンガスから都市ガスに変更する場合は、まず自宅近くにガス導管が通っているかの確認が必要です。ガス導管が通っている場合は都市ガス会社に連絡して、契約後にガス導管の引き込み工事を行います。
プロパンガス会社から別のプロパン会社に切り替える場合は、ガスボンベやメーターを新規契約した会社へ切り替える必要があります。切り替えの際、前のプロパンガス会社によっては違約金が発生する場合があるため、違約金がいくらになるかの確認も大切です。