寒い冬に備えるには、暖房器具が欠かせません。しかし、暖房にかかる光熱費が気になるという人もいるでしょう。暖房器具にはエアコンや石油ファンヒーター・ガスファンヒーターなどさまざまな種類があり、それぞれ光熱費も異なります。
当記事では、灯油・電気・ガスを使用した際の暖房費の目安を紹介し比較するとともに、暖房費の節約方法についても解説します。冬場の光熱費を少しでも抑えたいと思っている方はぜひ参考にしてください。
1.灯油・電気・ガスで暖房費はどのくらい違う?
冬場に活躍する暖房器具にはさまざまなタイプがあり、光熱費も異なります。効率的に使用し、少しでも光熱費を節約するために、各暖房器具の特徴を理解しておきましょう。
ここでは、代表的な灯油・電気・ガスの3つのタイプの暖房器具を挙げ、メリットデメリットと暖房費を比較します。
1-1.石油ファンヒーター
石油ファンヒーターは、灯油を燃焼させた際に発生した熱を、背面のファンから温風にして部屋全体を温める暖房器具です。
●石油ファンヒーターのメリット
- 即暖性が高く、すぐに部屋全体を暖められる
- 灯油の燃焼時に水蒸気が発生するため、加湿効果も期待できる
- 昔から使われていて操作もシンプルであり、高齢者も使いやすい
●石油ファンヒーターのデメリット
- 灯油の購入、給油の手間がある
- 灯油燃焼時に独特のニオイが発生する
- 一部のマンションや賃貸物件では使用が禁止されている
石油ファンヒーターには電気も必要ですが使用量は少なく、電気料金を目安単価である27円/kWhとすると、1日8時間使用した場合の1日の電気代は約20円です。
出典:公益社団法人 全国家庭電機製品公正取引協議会「『電力料金の目安単価』改定に関する件」
また、灯油の価格は変動するため一概にいくらとは言えませんが、2022年10月の全国灯油販売価格である1リットルあたり約111円と仮定します。
石油ファンヒーターは出力にもよりますが、平均で1時間に約0.2リットルの灯油を消費します。1日8時間使用した場合、必要な灯油の量は約1.6リットルとなり、1日あたりの灯油代は111.6×1.6=177.6円です。
電気代と灯油代を合わせた石油ファンヒーター暖房費を計算すると以下の通りです。
電気代 | 灯油代 | 暖房費 | |
---|---|---|---|
1日 | 約20円 | 約177.6円 | 約197.6円 |
1か月 | 約600円 | 約5,328円 | 約5,928円 |
機種や使用する時間・出力によっても差が生まれるため、上記はあくまでも目安として参考にしてください。
1-2.エアコン
エアコンは熱交換器と冷媒を使用し、外気を温風に変換することで室内を暖める暖房器具です。電気だけで運転できるので安全性が高く、賃貸物件などでも多く導入されています。
●エアコンのメリット
- 部屋全体を暖めることができる
- 灯油を購入したり給油の手間がない
- 空気が汚れにくい
●エアコンのデメリット
- 部屋の空気が乾燥しやすい
- 一部分を集中的に暖めることはできない
- 室外機の設置スペースが必要
エアコンの電気代は商品ごとに幅がありますが、JIS企画が定めたエアコンの平均的な消費電力量を表す「期間消費電力」を元に、消費電力は1時間あたり690Wとします。使用時間は8時間、電力料金単価は目安単価である27円/kWhと仮定すると、電気代は下記で計算できます。
出典:公益社団法人 全国家庭電機製品公正取引協議会「『電力料金の目安単価』改定に関する件」
電気代(円)=期間消費電力(kWh)×使用時間(h)×電力料金単価(円/kWh)
1日の電気代=0.69kWh×8h×27円/kWh=149.04円/日
1か月の電気代=149.04円/日×30日=約4,471円/月
エアコンは特に、スイッチを入れた直後の消費電力が多くなりやすいため、スイッチのオンオフは控えた方が節約につながるケースもあります。
1-3.ガスファンヒーター
ガスファンヒーターとは、灯油ファンヒーターの燃料がガスに変わったもので、内部でガスを燃焼させた際に発生した熱を、ファンによって温風にして部屋を暖める暖房器具です。
●ガスファンヒーターのメリット
- 部屋全体を素早く暖めることができる
- 燃料タンクがないので、軽量でコンパクト
- 給油の手間がない
●ガスファンヒーターのデメリット
- ガス栓がないと使えない
- オール電化住宅ではガスの契約が必要
- ガスを使用しなくても基本料金がかかるので、光熱費が上がる可能性がある
ガスファンヒーターは電気も使うため電気代もかかりますが、最も気になるのはガス代です。
大阪ガスの調査によると、ガスファンヒーターで使用する1時間あたりのガス代は約12円です。1日8時間ガスファンヒーターを使用した場合は96円、30日間使用すると2,880円となります。ただし、このほかに電気代もかかる上、使用状況によっても光熱費は変わるため注意が必要です。
ガスファンヒーターの場合は、ガス使用量に加えて毎月基本料金が1,000~2,000円程度かかります。また、今回は都市ガスで料金を計算していますが、プロパンガスの場合は料金が大きく変わるので、気になる場合はチェックしてみましょう。
2.暖房費を節約するためには?
暖房器具にかかる光熱費はできるだけ抑えたいものです。特に、北海道など平均的な気温が低く冬が長い地域では、暖房器具を使用する期間も長くなるため、どうしても暖房費の負担が大きくなります。
ここでは、どうすれば暖房費を節約することができるのか、具体的な方法について解説します。
2-1.暖房を効率よく使う
暖房を効率よく使うと暖房費の節約につながります。
エアコンを使用している場合は、風向きを下にしましょう。足元にたまった冷気を暖めながら天井へ移動させることで、部屋全体を効率的に暖められます。小型のサーキュレーターを併用して、天井にたまりがちな温風を循環させる方法もおすすめです。
また、ソファやダイニングの椅子など人がいる場所の足元を狙って左右方向に風を送る方法も効果的です。人は足元が温まると快適に過ごすことができるため、暖房の効果を感じやすくなります。
2-2.設定温度は低めにする
暖房の温度はできるだけ低めに設定すると、暖房費の節約につながります。ただし、環境省が掲げている暖房の推奨設定温度は20度ですが、人によっては寒く感じるかもしれません。
設定温度を下げて十分な暖房効果を得られない場合は、湿度を上げる方法がおすすめです。湿度が高いと体感温度が高く感じられるため、暖房器具を使いながら室内に洗濯物を干したり、浴室のドアを開けたりして湿度を上げると、寒さを感じにくくなります。
また、部屋の中でも厚着をしたり、保温効果のあるインナーを身に着けたりなど防寒対策をして、暖かく過ごせる工夫をしましょう。
2-3.暖房器具を組み合わせて使用する
エアコンやファンヒーターといった部屋全体を暖める暖房器具と、体の一部を暖める暖房器具を併用すると、より高い暖房効果を得られます。
●組み合わせ例
- ガスファンヒーターで部屋の温度を上げながら、足元を電気ストーブで暖める
- エアコンで部屋の空気を暖めながら、冷えやすい床はホットカーペットで暖める
設定温度が低くても暖かさを実感するために、暖房器具をうまく組み合わせましょう。
2-4.電力会社やガス会社を見直す
電力やガスの料金を見直して、よりお得な会社に契約し直す方法も暖房費の節約につながります。以前は地域の決められた会社としか契約できなかった電力やガスですが、今は自由化が進み、さまざまな会社の料金プランから選ぶことが可能です。
実績のない新しい会社であっても、電力やガスの品質は変わらないため、安心して利用できます。検針票や請求書を見れば毎月の使用量や基本料金などが分かるので、もっとお得なプランの会社がないか比較することも大切です。
暖房器具を使うには絶対的に電気やガスが必要です。料金は使用量に応じて高くなってしまうため、電気とガスの料金を見直して抜本的な暖房費の節約をしてみましょう。
まとめ
代表的な暖房器具である石油・ガスファンヒーターやエアコンには、それぞれメリットデメリットがあり、月々の暖房費にも幅があります。
暖房器具を使うのは冬場だけとはいえ、家の負担になることは事実です。種類の違う暖房器具同士を組み合わせたり、設定温度を低くするなど効率的に使用したりして、暖房費を節約しましょう。
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